
夏本番、訪問介護の現場でも熱中症のリスクが高まる時期です。ヘルパーとして利用者の体調管理に気を配る一方で、自分自身の熱中症対策は後回しになりがちではないでしょうか。令和7年6月1日には労働安全衛生規則が改正され、一定の暑さの中で働く労働者について、事業者に熱中症の早期発見・重篤化防止の体制整備が義務付けられました。具体的には、熱中症の自覚症状がある職員や異変に気づいた人が速やかに報告できる体制づくり、重篤化を防ぐ対応手順の整備、労働者への周知が義務付けられています。今回は、移動中や訪問先で実践できる、自分自身を守るための熱中症対策を紹介します。
訪問介護従事者が熱中症になりやすい理由
- 炎天下での徒歩・自転車移動が多く、屋外にいる時間が長い
- 利用者が快適と感じる室温を優先するあまり、自分の水分補給や休憩が後回しになりがち
- 訪問先ごとに室内環境が変わるため、自分の体調変化に気づきにくい
- 一人で訪問することが多く、周囲が異変に気づきにくい
移動中にできる熱中症対策
- 訪問前に水分・塩分を補給し、移動中ものどが渇く前にこまめに水分をとる
- 徒歩・自転車移動では日傘・帽子・涼しい服装を心がけ、可能な範囲で日陰のルートを選ぶ
- 訪問と訪問の合間に、短時間でも日陰や涼しい場所で休憩する時間を確保する
- 汗を多くかいたときは、水やお茶だけでなく経口補水液やスポーツドリンクも活用する
- 環境省「熱中症予防情報サイト」でWBGT(暑さ指数)を訪問前にチェックする習慣をつける
WBGT(暑さ指数)の目安(環境省・日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」より)
- 21℃未満:ほぼ安全
- 21℃以上25℃未満:注意
- 25℃以上28℃未満:警戒
- 28℃以上31℃未満:厳重警戒
- 31℃以上:危険(外出はなるべく避け、涼しい室内へ移動する)
訪問先の環境がWBGT31℃以上(危険)にあたる場合は、入浴介助など負荷の大きいケアを短時間で済ませる、可能であれば時間帯をずらすなどの配慮を検討しましょう。

訪問先でできる対策
利用者宅では、利用者への配慮を行いながらも、職員自身の体調管理を両立することが大切です。
- 利用者の状態を優先しつつ、作業の合間に玄関先や廊下で一息つくなど、自分も涼める工夫をする
- 通気性の良い服装や冷却タオルなどの冷却グッズを携帯し、訪問の合間に活用する
- 複数件訪問する日は、休憩を挟める無理のないスケジュールになっているか事前に確認する
熱中症のサイン
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛
- 吐き気
- 強い倦怠感
- 集中力の低下
「このくらい大丈夫」と我慢せず、早めに対応することが重篤化を防ぐ一番のポイントです。
体調不良を感じたときの対応
- 上記のサインに気づいたら、その場で作業の手を止め、涼しい場所に移動して休む
- 衣服をゆるめ、首の周り・脇の下・脚の付け根を保冷剤や冷たいタオルで冷やす
- 経口補水液を少しずつ補給する(※腎臓病や心不全などで水分・塩分の摂取について医師の指示を受けている場合は、その指示を優先する)
- めまいや吐き気などの自覚症状に気づいたら、我慢せずその時点で事業所へ報告する
- 休んでも症状が続く場合は、医療機関を受診する
すぐに救急車を呼ぶべきサイン
- 自力で水を飲めない
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしない
これらは、本人がもう自分で助けを求められない段階のサインです。めまいや吐き気など初期のサインを感じた時点で、まだ自分で動けるうちに連絡を済ませることが何より重要です。
事業所としてできる熱中症対策
- 暑さ指数を確認して訪問時間を調整する
- 緊急連絡体制を整備する
- 経口補水液や冷却グッズを備える
