
2026年6月1日、介護報酬の異例の期中改定が施行され、処遇改善加算が大きく拡充されました。訪問介護は最大28.7%、訪問看護は1.8%の処遇改善加算が新設され、施行時にはニュースでも取り上げられました。今回は、事業所として確認・対応しておきたいポイントを、具体的な数字とあわせて解説します。
令和8年度の介護報酬改定の概要
- 施行日:2026年6月1日(3年に1度の通常改定を待たない異例の期中改定)
- 全体の改定率:+2.03%(うち+1.95%が処遇改善加算の拡充)
- 処遇改善加算の対象を、これまでの「介護職員」から「介護従事者」へ拡大
- 訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など、これまで対象外だったサービスにも新たに処遇改善加算を新設
訪問介護・訪問看護の加算率はどう変わった?
訪問介護の処遇改善加算は、これまでの区分に加えて新しい区分が新設され、全体的に加算率が引き上げられました。
- 加算Ⅰイ:24.5%→27.0%
- 加算Ⅰロ(新設・最上位区分):最大28.7%
- 加算Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ:区分に応じて26.6%〜17.0%
訪問看護は今回から初めて処遇改善加算の対象になりました(1.8%)。あわせて訪問リハビリテーション(1.5%)、居宅介護支援(2.1%)なども新たに対象に加わっています。
最上位区分「加算Ⅰロ」を取るための要件
最大28.7%となる加算Ⅰロは、「令和8年度特例要件」を満たすことで算定できる上位区分です。訪問介護の場合、主に次のいずれかを満たすことが要件となります。
- ケアプランデータ連携システムへの加入・利用(令和8年度は特例的に、申請時点では「加入して利用することを誓約する」形でも認められますが、令和9年3月末までに実際にシステムを利用し、実績報告書で報告することが必要です)
- 社会福祉連携推進法人への所属

事業所として未対応なら今すぐ確認したいこと
施行日(2026年6月1日)から数ヶ月が経ちましたが、未対応の点がないか改めて確認しておきましょう。
- 現在算定している加算区分を確認する(Ⅰイ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳのいずれか)
- 最上位区分(加算Ⅰロ)を算定できるか検討する(ケアプランデータ連携システムの導入・利用状況を確認)
- 処遇改善計画書・実績報告書を新様式に切り替える(未対応の場合は早急に)
- 加算Ⅰロを目指す場合は、令和9年3月末までのシステム利用・実績報告のスケジュールを立てる
職員への配分をどう設計するか
厚生労働省が示している賃上げの目安は、次のとおりです。
- 介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円の賃上げ
- 生産性向上や協働化に取り組む事業所では、月0.7万円を上乗せ
- 定期昇給分(0.2万円)を含め、最大で月1.9万円の賃上げ
全職員に一律で配分する必要はなく、経験・技能や職責に応じた配分ルールを、事業所の実情にあわせて検討できます。配分方法は処遇改善計画書に記載し、賃金規程や給与明細への反映方法もあわせて整理しておきましょう。
「給料上がるんですよね?」と聞かれたときのために
今回の改定は施行時にニュースでも取り上げられたため、職員から「給料が上がるんですよね?」と聞かれる場面も想定されます。「月1万円」「最大1.9万円」はあくまで国が示す賃上げの目安であり、全員が一律にその金額を受け取れるわけではないこと、実際の配分は事業所の処遇改善計画によって決まることを、あらかじめ説明できるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
2026年6月に処遇改善加算が拡充され、訪問介護は最大28.7%、訪問看護は1.8%に引き上げられました。最上位区分を目指す場合は令和9年3月末までのシステム利用・実績報告が必要になるほか、職員への配分設計や説明の準備も欠かせません。未対応の点があれば、早めに確認・対応しておきましょう。
